クールマ・ジャヤンティー
クールマ・ジャヤンティーについて
クールマ・ジャヤンティーは、ヴィシュヌ神の2番目の化身であり、亀神として崇められるクールマ神の降誕祭にあたります。
クールマ神は一説に、ヴァイシャーカ月(4月〜5月)の満月に降誕したと伝えられます。
ヴィシュヌ神がこの亀の姿となった理由は、ヒンドゥー教の創造神話である乳海撹拌に秘められています。
大昔、悪魔との戦いに敗れた神々は、力を取り戻すためにアムリタを得なければなりませんでした。
神々はヴィシュヌ神の働きかけの下、悪魔たちと協力をしながらアムリタを作り出すために乳海撹拌を行うことになります。
あらゆる薬草を海へと投入し、マンダラ山に大蛇ヴァースキを絡ませ引っ張り合うことで海を撹拌しアムリタを生み出します。
神々を助けようと働きかけるヴィシュヌ神にとって、この作業は非常に骨の折れるものでした。
マンダラ山が海に沈まぬよう、ヴィシュヌ神は大亀クールマとなりその上に山を乗せます。
そして絡ませた大蛇ヴァースキを神々と悪魔引っ張り合いました。
アムリタを含め、多くの物が産出されたこの乳海撹拌において、幸運を運ぶラクシュミー女神もまた誕生し、後にヴィシュヌ神の妻となります。
悪と戦う神として化身することが多いヴィシュヌ神の姿の中で、クールマ神は他を支え救うために姿を現します。
亀はヴィシュヌ神の象徴である維持や保護そのものであるとも伝えられ、妃であるラクシュミー女神と共に崇められることも多くあります。
また、インドの宇宙観では一説に、世界は象に支えられ、その象を亀が支えていると、亀は世界を支える土台として考えられることもあり、クールマ神は安定や支え、繁栄の象徴として崇められます。
クールマ神は、亀が自分の意志で手足や頭を甲羅の中に引き込み自らを守るように、私たちが5つの感覚を自身の内に収め、永遠の至福を見つけることを象徴しているともいわれます。