ヤントラや神像を祀る方角について
ヤントラや神像を祀る方角について
祈りや瞑想が生活の中心にあるインドの家庭や仕事場には、そのための神聖な空間が設けられていることが多くあります。
自分自身と向き合うこの聖域を、伝統的な教えに基づいて設ける人々も少なくありません。
そこには、自然界の法則に従った建築の科学として知られるヴァーストゥが重要とされてきました。
このヴァーストゥにおいて、もっとも神聖とされるのが北東の方角です。
万物のエネルギーの源泉であり、私たちの意識の象徴として崇められてきた太陽が昇る時、そのエネルギーは、磁場の関係から北東の方角において最大になると信じられてきました。
この方角は、イーシャーナとしてのシヴァ神が守る方角であり、土地や建物に宿るヴァーストゥの魂(ヴァーストゥ・プルシャ)は、頭を北東の方角へ向けています。
この方角に祭壇を設ける家庭が多いインドでは、朝の礼拝時に祭壇に向かうと、私たちは必然的に、太陽からの最大のエネルギーを受けることができると信じられています。
自然界で起こるすべての現象は、私たちの体と心に大きな影響を与えていることが古くから伝えられてきました。
こうした自然界の動きに調和したヴァーストゥの法則に従って建てられたインドの寺院を訪れる時、神秘的で啓発的なエネルギーを全身で感じる瞬間が多くあります。
実際に、寺院や聖地といった場所は、宇宙エネルギーの貯水池のように働くといわれることもあります。
現代社会において、ヴァーストゥの法則に従って住居や仕事場を構えたり、頻繁に寺院や聖地を訪れたりすることは難しいかもしれません。
しかし、住居や仕事場において、北東の方角から重たいものや汚れたものを取り除き、常に清浄に保つことで、周囲にはより良いエネルギーが流れるようになると信じられています。
早朝、神聖な空間で太陽の光を受けながら祈りを捧げ、瞑想を行う時、精神的にも身体的にも、生き生きとしたエネルギーで満たされるはずです。
幸福、繁栄、健康、平和、調和をもたらすこの方角に、心を向けてみるのも良いかもしれません。