ナラシンハ(ヌリシンハ)・ジャヤンティー
ナラシンハ(ヌリシンハ)・ジャヤンティーについて
ナラシンハ・ジャヤンティーは、ヴィシュヌ神の4番目の化身であるナラシンハ(ヌリシンハ)神の降誕祭です。
ナラシンハ神は一説に、ヴァイシャーカ月(4月〜5月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)の14日目に降誕したと伝えられます。
人獅子の姿をしたナラシンハ神は、魔王ヒラニヤカシプを倒すために生まれた、ヴィシュヌ神のもっとも強い神格と信じられます。
帰依者に最高の保護を与えると信じられるこのナラシンハ神の誕生には、一説に以下のような神話が伝えられます。
魔王ヒラニヤカシプは、苦行の賜物として、神、魔神、人間、動物、そしていかなる武器にも殺されることのない肉体を手にし、世界を恐怖に陥れていました。
ヒラニヤカシプを倒すことができるのは、昼でも夜でもない時、そして、外でも内でもない場所に限られます。
もはや、ヒラニヤカシプを倒すことは不可能のように見えました。
そんなヒラニヤカシプには、プラフラーダという息子がいました。
ヴィシュヌ神を熱心に礼拝するプラフラーダは、ヒラニヤカシプにとって疎ましい存在です。
ある時、ヴィシュヌ神の遍在性を説くプラフラーダに腹を立てたヒラニヤカシプは、その事実を証明させるため、宮殿の柱からヴィシュヌ神を出すよう要求します。
その悪態に見かねたヴィシュヌ神は、神、魔神、人間、動物でもない人獅子ナラシンハとなって、柱から姿をあらわします。
人獅子となってあらわれたヴィシュヌ神は、ヒラニヤカシプを外でも内でもない場所に連れ出しました。
そして、どんな武器でもないその爪で手にかけると、不可能と思われたヒラニヤカシプを容易く倒したといわれます。
それは、昼でも夜でもない、明け方のことであったと伝えられます。
ナラシンハ神が生まれた目的は、ヒラニヤカシプからプラフラーダを守り、神が至る所に存在しているというプラフラーダの言葉を真実にするためでした。
そんなナラシンハ神の姿は、この世界に不可能はないということ、そして、どんな時でも神は真の帰依者を救いに来るということを伝えています。