マハーシヴァラートリ
マハーシヴァラートリについて
シヴァラートリとは、「シヴァの夜(ラートリ)」または「吉兆(シヴァ)の夜(ラートリ)」という意味です。
シヴァラートリは、毎月、満月から14日目(チャトゥルダシー)にあたります。
中でも、2月〜3月(パールグナ月またはマーガ月)のシヴァラートリは、マハーシヴァラートリと呼ばれ、一年の内でもっとも神聖な夜として知られています。
この夜、シヴァ神の信者たちは断食をし、睡眠を絶ち霊性修行に励みます。
シヴァラートリは、月が満月から新月へと変化する境目です。
充ち満ちた欲望(月)がやがて消滅していくように、満月から新月へと変化するシヴァラートリの日に霊性修行に励むことで、欲望を滅し、解脱へと至る精神力を獲得できると信じられてきました。
シヴァラートリの日は、シヴァ神を崇めるもっとも神聖な日です。
この日には、シヴァリンガムを崇めたり、あるいは、シヴァ神の御名やルドラムを唱えたり、バジャンを歌ったり、瞑想を行うことがすすめられています。
またルドラークシャを身に着けるのにもっとも適した日であるとも言われています。
シヴァ・パンチャークシャラ・マントラ(オーム・ナマハ・シヴァーヤ)も、この日に唱えることで、大きな功徳をもたらすといわれます。
シヴァラートリの日には、さまざまな言い伝えが残されています。
この日、シヴァ神はパールヴァティー女神と結婚をしたと信じられています。
シヴァとシャクティとの永遠の合一である非常に吉兆な日です。
シヴァ神はエネルギーの原始であり、シャクティと共に創造者として、そしてマハーカーラとしては破壊者でもあります。
また、シヴァ神が保護と維持、そして破壊のダンス「タンダヴァの踊り」を舞い、宇宙を創造したのも、この日であると言われています。
猛毒ハラーハラが世界を焼き尽くそうとしたとき、神々の願いに応え、シヴァ神はハラーハラの猛毒を飲みほし、世界を救いました。
ハラーハラは、シヴァ神にとっても強大な猛毒であったため、シヴァ神の首が猛毒で青くなり、このためにシヴァ神は、ニーラカンタ(ニーラ[青]カンタ[首])と呼ばれるようになった話は有名です。
このマハーシヴァラートリの夜にシヴァ神を礼拝する人々に、シヴァ神はその至福から人々が望む結果を与えると伝えられます。
そのシヴァ神の恩寵によって、平和で豊かな人生を送ることができると信じられています。
マハーシヴァラートリ・プージャー
【礼拝に必要なもの】
・シヴァリンガム
・ルドラークシャ・マーラー
・ヴィブーティ(聖灰)
・ガンジス川の聖水
・
パンチャームリタ
・香油
・カラシャ(水瓶)とスプーン
・聖紐(モーリー)
・アクシャタ
・お花
・サンダルウッド・ペースト
・お香
・果物
・お菓子
・ギーランプ
【シヴァリンガムの祀り方】
シヴァリンガムの配置は、ヨーニの水が流れ出る口が北か東に向くように置くことが勧められます。
礼拝をする際には、礼拝者が北か東を向いて行います。
礼拝者が北を向く場合はヨーニの口は東に向け、礼拝者が東を向く場合はヨーニの口は北に向くことが良いでしょう。
【シヴァリンガムの礼拝方法】
・身を清め清潔な衣服に着替え、シヴァリンガムの前に座ります。
・ペーストにしたヴィブーティで自分自身の額に3本の線を引きます。
・ルドラークシャ・マーラーを身につけます。
・自分自身と礼拝用具にガンジス川の聖水を振りまいて清めます。
・聖水、パンチャームリタ、香油などをシヴァリンガムに注いでアビシェーカを行います。
・アビシェーカを行う間、オーム・ナマハ・シヴァーヤを唱えます。
・アビシェーカの後、リンガムは聖水できれいに洗い流し拭います。
・リンガムに聖紐を捧げます。
・ペーストにしたヴィブーティでシヴァリンガムの西面に3本の線を引きます。
・アクシャタ、サンダルウッド・ペースト、お花、お香、果物やお菓子などの供物を捧げます。
・オーム・ナマハ・シヴァーヤを唱えながらギーランプを灯します。
・マハー・ムリティユンジャヤ・マントラを108回唱えます。
・最後にシャーンティ・マントラを唱えて礼拝を終えます。
※シヴァリンガムの礼拝方法は、インドでも地域や慣習によってさまざまに異なります。
上記は参考までに、形式にとらわれず、心を込めて行うことが良いでしょう。
ジョーティルリンガの重要性
プラーナ文献はジョーティルリンガの偉大さを深く称賛し、この御名を唱えることにより、人は全ての罪を取り去ることができるとしています。
サーダカ(修行を行う者)は穏やかで汚れなく純粋になり、そして、崇高で神聖な知識によって啓蒙され悟りを得ることができるといいます。
SAURASHTRA SOMNATHAM CHA SHRISHAILE MALLIKARJUNAM ||
UJJAINYAM MAHAKALOMKARE MAMMALESHWARAM ||
PARLYAM VAIJNATHAM CHA DAKINYAM BHEEM SHANKARAM ||
SETU BANDHE TU RAMESHAM NAGESHAM DARUKA VANE ||
VARANASYA TU VISHWESHAM TRIBAKAM GAUTAMITATE ||
HIMALAYE TU KEDARAM GHURMESHAM CHA SHIVALAYE ||
AETANI JYOTIRLINGANI SAYAM PRATAHA PATHENNARAHA ||
SAPTA JANMA KRITAM PAPAM SMARANEN VINASHYATI ||
これらの12の御名を朝と夕に定期的に唱える者は、過去7世に渡る全ての罪を洗い流し、シッディ(成就)に至るとされます。
シヴァ神の特性
荼毘場:シヴァ神はこの物質界における死を操る者であることを意味するように、荼毘場に腰を据えています。
三段の髪型:三つ重なった団子髪は、肉体的、心理的、精神的な面での統合がヨーガの理想であるという考えを伝えています。
虎の毛皮:虎の毛皮は潜在的な力を示します。
三日月:シヴァ神の装飾品である唯一のものです。
三眼:シヴァ神がトリヤンバカ・デーヴァとも呼ばれるのは、三つの目を持つからであり、右目が太陽を、左目が月を、そして三つめの目が火を象徴しています。
ナンディ:牛はシヴァ神の乗り物であると言われています。
クンダラ(二つの耳飾り):シヴァ神の耳の二つのクンダラ、アラクシャとニランジャンはシヴァとシャクティ(男性と女性)であり、創造の原理、アルダナーリーシュワラ(男性と女性が結合した完全神)の象徴です。
カマンダル:乾いた南瓜で作られた水瓶は甘露を含み、人々が物質界への執着を取り払い、自己の至福を経験するための利己的な願望にあふれた自身の内を浄化しなければならないことを、シヴァ神の側で象徴しています。
蛇(ヴァースキ・ナーガ):一匹の蛇がシヴァ神の首に三周巻きつき、そして右側を向いています。三周とぐろを巻いた蛇は、過去、現在、未来の三つのサイクルを象徴しています。
ルドラークシャの首飾り:ルドラはシヴァ神の別名です。シヴァ神によって身につけられたルドラークシャの首飾りは、この宇宙の法と秩序を保つため、一切の妥協なしにシヴァ神がこの宇宙の法則を頑なに用いることをあらわしています。
ガンガー:ガンガーは、女性(母なるガンジス河)の口から地上へと流れ出る水流として、シヴァ神の頭の上で象徴的にあらわされています。それは、シヴァ神が信者たちの罪を破壊し、無知を取り除き、知識と純粋さ、そして平穏を授けることを象徴しています。
首回りの蛇:蛇はシヴァ神の持つ宇宙を破壊し再生するヨーギーとしての力を象徴しています。
ヴァルダ・ムドラー:シヴァ神の右手は恩恵を示します。悪を滅し、利益を与え、恩寵を授け、無知を破壊し、シヴァ神の信者たちの賢明さを呼び起こす、祈りの印です。
三叉戟(トリシューラ):シヴァ神の側にある三叉戟は、シヴァ神の三つの力(シャクティ)である、意志(イッチャ)、行動(クリヤ)、知識(ジュニャーナ)を象徴しています。
ダマル(ドラム):ダマルは顕在と非顕在のような、存在の異なる状態の象徴です。
半眼:シヴァ神がその目を開く時、新しい創造が始まり、そして閉じる時、次の創造に向けて宇宙が消えて行きます。半眼は、その創造が、始まりもなく終わりもなく周期的な過程を進んでいるという考えを伝えています。
灰で覆われた体:シヴァ神の灰で覆われた体は、シヴァ神が彼自身から生まれる全宇宙の源でありながら、物質的な現象を超えていて、またそれに影響受けないことを象徴しています。