マールガシールシャ・プールニマー・ヴラタ
マールガシールシャ・プールニマー・ヴラタについて
マールガシールシャ・プールニマー・ヴラタは、マールガシールシャ月(11月〜12月)の満月の日に行われる断食および誓戒の実践を指します。
このヴラタは、クリシュナ神が「最上の月」と呼んだ月に行われるため、その功徳は計り知れず、すべての罪を焼き尽くし、願望を成就させる力があるとされています。
特にヴィシュヌ神(ナーラーヤナ神)と、月の神(チャンドラ)を崇拝し、精神的な平和と家庭の繁栄を願って行われます。
ヴラタの一日は、ブラフマ・ムフールタ(夜明け前)の起床と沐浴から始まります。
冬の冷たい水での沐浴は修行の一環であり、心身を引き締めます。
この際、トゥラシー(ホーリーバジル)の根元の土を体に塗ってから水に入る習慣を持つ地域もあります。
清潔な衣服に着替えた後、人々は祭壇にヴィシュヌ神の像を安置し、「オーム・ナモー・ナーラーヤナーヤ」のマントラを唱えながら、花、香、灯明、そして果物を捧げます。
この日は特に「サティヤナーラーヤナ・プージャー(ヴィシュヌ神の礼拝)」を行うのに最適とされ、多くの家庭で親族や友人を招き、サティヤナーラーヤナ神の物語(カター)を朗読・聴聞します。
断食の間は、固形物の摂取を避けるか、あるいは果物や牛乳のみで過ごす「パラーハーラ」を行います。
マールガシールシャ月のヴラタにおいては、布施(ダーナ)の重要性が特に強調されます。
この日に飢えた人に食事を与え、僧侶に知識の象徴である書物や、寒さを防ぐための衣服を寄付することは、アシュヴァメーダ・ヤジュニャ(馬祀祭)を行うのと同等の価値があると伝えられています。
そのため、人々は自身の食事を節制し、その分を他者への施しに回すという精神を実践します。
夕刻、満月が空に昇ると、再び沐浴や清めを行い、月に向かってアルギャ(聖水の捧げ物)を捧げます。
月は植物の王(ソーマ)とされ、その光は心に安らぎを与えます。
アンナプールナー・ジャヤンティーと重なるため、断食明けの食事(プラサーダ)には、穀物への感謝が込められます。
一般的には、神に捧げたパンチャームリタ(五種の甘露)や、甘いお菓子、そして純粋な菜食の食事を家族と共に頂いてヴラタを完了します。
マールガシールシャ・プールニマー・ヴラタは、神への絶対的な愛(バクティ)と、他者への慈悲、そして生命を維持する食への感謝が三位一体となった、冬の初めの温かく神聖な修行の日となります。