バードラパダ・プールニマー
バードラパダ・プールニマーについて
バードラパダ・プールニマーは、バードラパダ月(8月〜9月)の満月の日を指します。
この日は、ヒンドゥー教において最も重要な祖先崇拝の期間である「ピトリ・パクシャ」への入り口となります。
この満月の日は、華やかな祝祭の季節から、厳粛な追悼の季節へと移り変わる分水嶺のような一日であり、精神的な重心が「神々への称賛」から「祖先への報恩」へとシフトする重要な節目です。
この日の最も重要な面は、翌日から始まる16日間のピトリ・パクシャ(シュラーッダ)の準備、あるいはその開始日としての役割です。
厳密には祖先崇拝は満月の翌日から始まりますが、満月の日に亡くなった祖先を供養するための「プローシュタパディー・シュラーッダ」または「プールニマー・シュラーッダ」がこの日に行われることがあります。
人々は聖なる川で沐浴し、祖先に対して水と米団子(ピンダ)を捧げます。
この日から約半月の間、人々は新しい衣服の購入や散髪、髭剃りなどを慎み、ひたすら亡き魂の安寧を祈る生活に入ります。
バードラパダ・プールニマーは、その静謐で内省的な期間への厳かな導入部として機能します。
一方で、この日は「サティヤナーラーヤナ・プージャー(ヴィシュヌ神の礼拝)」を行うのに非常に吉祥な日でもあります。
ヴィシュヌ神の姿であるサティヤナーラーヤナ神に感謝を捧げ、家庭の平和と繁栄を祈ります。
特に、この満月の直前まで行われていたガネーシャ・チャトゥルティー(ガネーシャ神の降誕祭)の終了を受けて、神々の加護に感謝し、これからの季節の平穏を願うという意味合いも込められています。
また、一部の地域では、この日に新しい作物の収穫を祝う儀式が行われることもあり、自然の恵みと神の恩寵が不可分であることが再確認されます。
季節的には、雨季が終わりに近づき、空気が澄み渡り始める時期です。
満月の光は雨上がりの夜空にいっそう明るく輝き、人々の心に静けさをもたらします。
この時期、次なるアーシュヴィナ月が近づくにつれて夜露が降り始めると言われており、季節の変わり目における体調管理も重要視されます。
バードラパダ・プールニマーは、過ぎ去った日々の祭りの熱狂を静かに鎮め、自分たちのルーツである祖先に思いを馳せ、生命の連続性と義務(ダルマ)について深く思索するための、清らかで厳格な光に満ちた満月の日となります。