アーシャーダ・プールニマー
アーシャーダ・プールニマーについて
アーシャーダ・プールニマーは、アーシャーダ月(6月〜7月)の満月の日を指します。
この満月が持つ最大の意義は、「グル・プールニマー」または「ヴィヤーサ・プールニマー」として祝われる点にあります。
この日は、古代の聖仙であり、4つのヴェーダを編纂し、叙事詩『マハーバーラタ』や18のプラーナ文献を著したとされる、偉大なる師(グル)、ヴェーダ・ヴィヤーサの生誕日です。
ヒンドゥー教の伝統において、「グル(師)」は神と同等、あるいは神へと至る道を指し示す存在として、神以上に尊い存在とさえ見なされます。
サンスクリット語で「グ」は暗闇、「ル」はそれを取り除く者を意味し、グルとは無知の闇を払い、知識の光を与える存在です。
この満月の日、弟子(シシュヤ)たちは師のもとを訪れ、足元にひれ伏して敬意を表し、果物や衣服、ダクシナー(布施)を捧げます。
学校や大学、音楽や舞踊の教室、そしてアーシュラム(僧院)など、学びの場すべてにおいて、師弟の絆を確認し、感謝を伝える厳粛かつ温かい儀式が執り行われます。
また、この日は仏教徒にとっても極めて重要な日です。
悟りを開いたブッダが、サールナートにおいて、かつての修行仲間であった5人の比丘に対して初めて説法を行った日(初転法輪)とされるためです。
同様に、ジャイナ教においても、第24代ティールタンカラであるマハーヴィーラが最初の弟子を得た日として祝われます。
このように、アーシャーダ・プールニマーは、宗教の枠を超えて「師から弟子への真理の伝達」を祝う、インド精神文化の根幹をなす祝日となっています。
季節的な文脈では、この満月から本格的な「チャトゥルマーサ(聖なる4ヶ月間)」の修行期間に入ります。
雨季の間、僧侶や修行者たちは一箇所に定住して移動を避け、研究と瞑想に専念します。
この伝統は、雨季に移動することで地面の小さな虫を踏み殺してしまうのを防ぐという、非暴力(アヒンサー)の精神に基づいています。
そのため、この満月の日は、修行者たちが雨安居に入る前の最後の移動日、あるいは定住の誓いを立てる日でもあります。
空には雨雲の合間から満月が輝き、地上では師への感謝と知識への渇望が満ち溢れる、精神的に最も高潔な満月の日となります。