アーシャーダ・アマーヴァシャー
アーシャーダ・アマーヴァシャーについて
アーシャーダ・アマーヴァシャーは、アーシャーダ月(6月〜7月)の新月の日を指します。
この日は、雨季の始まりと農業活動の本格化が重なるため、特に農村部においては「ハラハーリニー・アマーヴァシャー」として知られ、大地と農具への感謝を捧げる極めて重要な日とされています。
ハラハーリニーとは「鋤(すき)を持つ者」を意味し、この日、農民たちは農具、特に耕作に不可欠な鋤を清め、花やターメリックで飾り、プージャー(礼拝)を行います。
彼らは、大地母神(ブーミ・デーヴィー)と農具に対して、これからの季節の豊作と作業の安全を祈願します。
種を蒔き、苗を植えるという行為は、単なる労働ではなく、大地に生命を宿す神聖な行為と見なされており、新月の日はそのための霊的な基盤を整えるタイミングとなります。
また、この日は苗木を植えるのに最も適した日ともされ、環境保護の観点からも植樹活動が積極的に行われます。
このアマーヴァシャーは、祖先崇拝(ピトリ・タルパナ)の日であると同時に、タントラ行者にとっては「グプタ・ナヴァラートリ(秘められた九夜祭)」の直前にあたる重要な準備の日でもあります。
翌日から始まる9日間は、10柱のマハーヴィディヤー(偉大なる知恵の女神たち)を崇拝する九夜祭となり、その前の新月の夜に、行者たちは静寂の中で瞑想し、マントラを唱え、霊的なエネルギーを高めます。
女神を讃える公の九夜祭である春や秋のナヴァラートリとは異なり、この時期の女神崇拝は個人の内面的な解脱や特別な能力(シッディ)の獲得を目指して行われることが多く、新月の闇はその秘教的な雰囲気を深めます。
一部の地域では、この日はランプ(灯明)を崇める「ディーパ・プージャー」の日としても祝われます。
雨季の暗い夜を照らし、知識の光で無知の闇を払うことを象徴して、家中にランプを灯し、富の女神ラクシュミーや知識の女神サラスヴァティーに祈りを捧げます。
このように、アーシャーダ・アマーヴァシャーは、農具という物理的な手段への感謝と、祖先や女神という霊的な存在への畏敬、そして知識の光への希求が混ざり合う、深く静謐な祈りの日となります。