ジェーシュタ・アマーヴァシャー
ジェーシュタ・アマーヴァシャーについて

ジェーシュタ・アマーヴァシャーは、ジェーシュタ月(5月〜6月)の新月の日を指します。
この日は、北インドの女性たちにとって一年の中で最も重要な祭日の一つである「ヴァタ・サーヴィトリー・ヴラタ」が行われる日として広く知られています。
新月の神秘的な暗闇の中で、夫婦の絆と夫の長寿を願うこの儀式は、深い愛と献身の象徴とされています。
ヴァタ・サーヴィトリー・ヴラタの背景には、『マハーバーラタ』にも記されているサーヴィトリーとサティヤヴァーンの伝説があります。
貞淑な妻サーヴィトリーが、死神ヤマ(閻魔)と知的な問答を繰り広げ、その聡明さと夫への揺るぎない愛によって、死ぬ運命にあった夫サティヤヴァーンの魂を取り戻したという物語です。
この奇跡が起こった際、彼らが休んでいたのが「ヴァタ(バニヤンの木)」の木の下であったと伝えられています。
そのため、ジェーシュタ・アマーヴァシャーの日、既婚女性たちは美しく着飾り、ヴァタの巨木の周りに集まります。
彼女たちは木に水を注ぎ、神聖な赤い糸を幹に巻き付けながら周囲を回り、夫の健康と夫婦円満を祈願します。
また、この日は「シャニ・ジャヤンティー(土星神シャニの降誕祭)」としても祝われます。
シャニ神は正義とカルマの管理者であり、その視線は強力な影響力を持つと信じられています。
人々は、土星の否定的な影響を和らげるために、この日に断食を行い、シャニ寺院で油や黒胡麻、鉄、黒い布などを捧げます。
新月の日は太陽と月が重なる日であり、太陽を父に持つシャニ神のエネルギーが最も強まると考えられているため、この日の礼拝は運命の障害を取り除くために極めて有効であるとされています。
ジェーシュタ・アマーヴァシャーは、生命力の象徴であるヴァタの木への崇拝と、厳格な運命の神シャニへの畏敬が共存する日です。
大地は猛暑で乾ききっていますが、女性たちの祈りと供物の水によって聖なる木の根元は潤され、精神的なオアシスが形成されます。
また、祖先への水と胡麻の奉納(ピトリ・タルパナ)も他のアマーヴァシャーと同様に行われ、家族の過去、現在、未来を守るための祈りが捧げられます。
このように、この日は愛による死の克服と、規律による運命の受容という二つのテーマが織りなす、精神的に深遠な新月の一日となります。