ジェーシュタ月の始まり
ジェーシュタ月の始まりについて
ジェーシュタ月の始まりは、西暦では概ね5月から6月にかけての時期に相当し、インド亜大陸においては「グリーシュマ・リトゥ(夏)」が極まり、一年の中で最も気温が高く、太陽が容赦なく照りつける酷暑の時期となります。
ジェーシュタという名前は、この月の満月の日に月が「ジェーシュター」というナクシャトラ(星宿)の近くに位置することに由来しており、サンスクリット語で「最年長」や「最上位」を意味します。
このことから、この月は力強さと厳格さを象徴する月とも捉えられています。
この月が始まると、北インドの多くの地域では「ナウタパー」と呼ばれる期間が訪れます。
これは太陽がローヒニー・ナクシャトラに入ることによって生じる、9日間の猛烈な熱波の期間を指し、大地が燃えるような熱に包まれます。
この耐え難い暑さは、一種の修行の場であり、人々はこの期間における「水」の重要性を深く認識します。
そのため、ジェーシュタ月においては、水に関連する慈善活動が最大の功徳とされています。
喉の渇いた旅人に水を提供する水飲み場の設置や、鉢に水を入れて鳥や野良犬に与える行為は、神への祈りと同等の価値を持つ善行として推奨されています。
また、この月は「ハヌマーン神」への崇拝が特に盛んになる時期でもあります。
特にラクナウを中心とする北インドの一部では、「バダー・マンガラ(大いなる火曜日)」と呼ばれる祭礼が、ジェーシュタ月のすべての火曜日に行われます。
神話によれば、ハヌマーン神がラーマ神と初めて出会ったのがこのジェーシュタ月であったとされ、人々は寺院に集まり、シンドゥール(朱粉)を捧げ、地域社会全体で炊き出しを行い、プーリーや野菜のカレー、冷たい飲み物を振る舞います。
暑さが厳しければ厳しいほど、人々の助け合いの精神と信仰心は熱を帯び、社会的な連帯が強まるのがこの月の特徴です。
ジェーシュタ月の始まりは、自然環境の厳しさと向き合いながら、生命の源である水への感謝を深めるサイクルのスタートです。
農村部では、この強烈な日差しが後のモンスーン(雨季)を呼び込むために必要不可欠であることを知っており、空を見上げて雨雲の兆候を探し始めます。
人々は暑さを避けるために早朝の涼しい時間に活動し、日中は聖典を読んだり、神話を語り合ったりして精神的な安らぎを求めます。
このように、ジェーシュタ月は物理的な暑さの中で忍耐を養い、来るべき雨の恵みを待つ、静かで力強い祈りの季節の幕開けとなります。