ヴァイシャーカ・プールニマー
ヴァイシャーカ・プールニマーについて
ヴァイシャーカ・プールニマーは、ヴァイシャーカ月(4月〜5月)の満月の日を指します。
この日はヒンドゥー教徒だけでなく、世界中の仏教徒にとっても「ブッダ・プールニマー」として知られる、一年で最も神聖な祝日の一つです。
ガウタマ・シッダールタの誕生、悟り(成道)、そして入滅(涅槃)という三つの重大な出来事が、すべてこのヴァイシャーカ月の満月の日に起こったとされているためです。
ヒンドゥー教の文脈において、ブッダはヴィシュヌ神の9番目の化身として崇敬されています。
そのため、この日は仏教徒による瞑想や法要が行われる一方で、ヒンドゥー教徒によるヴィシュヌ神への盛大なプージャーも執り行われます。
人々は白い衣服を身にまとい、寺院に参拝し、お香や花、果物を捧げます。
特にこの日は「非暴力(アヒンサー)」の精神が強調され、肉食を避け、生きとし生けるものへの慈しみを実践する日とされています。
鳥かごから鳥を放ったり、魚を川に放流したりする儀式が行われることもあり、満月の清らかな光の下で、生命の尊厳が再確認されます。
また、この日は「サティヤ・ヴィナーヤカ・プールニマー」とも呼ばれ、特定の地域ではガネーシャ神や、サティヤナーラーヤナ神(真実の神としてのヴィシュヌ神)への崇拝が行われます。
さらに、神話によっては、ヴィシュヌ神が亀の姿をとった「クールマ・アヴァターラ」の降誕日とされることもあります。
このように多面的な神性が祝われる日ですが、共通しているのは「真理(サティヤ)」と「ダルマ(法)」への志向です。
満月が空に昇る夜、聖なる川、特にガンジス川での沐浴は「カルパヴァーサ(厳格な修行生活)」を締めくくる行為とも見なされ、計り知れない功徳をもたらすと信じられています。
季節的な面からは、夏の暑さがピークに向かう時期であるため、この満月の日は「涼」を提供することが最大の善行とされます。
冷たい水を入れた水瓶や、団扇、履物、傘、そして季節の果物であるメロンやマンゴーを、僧侶や貧しい人々に寄付する習慣が広く見られます。
これを「ジャラ・ダーナ(水の布施)」と呼びます。
ヴァイシャーカ・プールニマーは、ブッダの説いた慈悲の教えと、ヒンドゥー教の献身の精神、そして厳しい夏を生き抜くための相互扶助の知恵が融合した、光と慈愛に満ちた満月の日となります。