チャイトラ・アマーヴァシャー
チャイトラ・アマーヴァシャーについて
チャイトラ・アマーヴァシャーは、チャイトラ月(3月〜4月)の新月の日を指します。
この日は、ヒンドゥー教の暦において極めて重要な分岐点となる一日です。
なぜなら、この新月が終わった翌日から伝統的な暦における新しい年が幕を開けるからです。
つまり、チャイトラ・アマーヴァシャーは、過ぎ去ろうとする一年の最後の日であり、大晦日のような厳粛な意味を持っています。
この日の焦点は、過去の清算と浄化にあります。
新年の祝祭や、翌日から始まる「チャイトラ・ナヴァラートリ(ドゥルガー女神を崇める九夜祭)」という神聖な期間を迎える前に、人々は心身の穢れを落とし、未解決のカルマを整理する必要があります。
そのため、多くのアマーヴァシャー(新月)と同様に、この日も祖先崇拝(ピトリ・タルパナ)が主要な儀式として執り行われます。
聖なる川、特にガンジス川での沐浴は、過去一年の罪を洗い流す行為とされ、川岸では先祖に対して水や胡麻を捧げ、先祖の祝福を得てから新年を迎えようとする人々の姿が多く見られます。
また、この日は否定的なエネルギーや悪霊の影響を祓うための儀式を行うのにも適しているとされています。
家の中を徹底的に清掃し、不用品を処分し、お香やランプを焚いて空間を浄化することは、単なる掃除ではなく、新しい年の幸運(ラクシュミー女神)を迎え入れるための準備です。
一部の地域では、この日に特別な「ハヴァナ(護摩供)」を行い、神聖な火によって不浄なものを焼き尽くし、環境と精神の純粋さを回復させます。
静寂の中で行われるこれらの儀式は、翌日から始まる華やかな新年のお祝いとは対照的に、内省的で静謐な空気に包まれています。
チャイトラ・アマーヴァシャーは、闇が最も深まる日であると同時に、光が生まれる直前の「胎動」の日でもあります。
月が見えないこの夜、人々は目に見える物質的な世界から目を転じ、内なる神性を見つめ直します。
それは、古い殻を脱ぎ捨て、翌朝の日の出と共に始まる新しいサイクルに向けて、魂を再生させるための神聖な休息のひとときとなります。
この日を境に、季節は本格的な春から初夏へと移り変わり、人々の祈りも、祖先への鎮魂から、繁栄と力を象徴する女神への崇拝へと切り替わっていきます。