チャイトラ月の始まり
チャイトラ月の始まりについて
チャイトラ月の始まりは、西暦では概ね3月から4月にかけての時期に相当し、北インドでは春(ヴァサンタ・リトゥ)が爛漫を迎え、徐々に初夏(グリーシュマ・リトゥ)の暑さを感じ始める季節の変わり目にあたります。
この月の始まりは、色彩と喧騒に満ちたホーリーの興奮が鎮まり、人々が再び日常の規律と精神的な静寂を取り戻し始めるタイミングでもあります。
チャイトラ月は、「ヒンドゥー新年の始まり」を迎える吉祥の月でもあります。
年のサイクルとしては、年の締めくくりとしての性質を帯びている一方で、この期間は来るべき新年と、それに続く春のナヴァラートリ(ドゥルガー女神を崇める九夜祭)に向けた、大いなる浄化と準備の期間として位置づけられています。
この月には、特徴的な行事である「シータラー・アシュタミー(あるいはバソーダー)」と呼ばれる祭礼が祝われます。
これは、天然痘や皮膚病を司るシータラー女神を讃えるための儀式です。
季節の変わり目で病気が流行しやすいこの時期、人々は前日に調理した冷たい食事のみを摂り、かまどに火を入れないことで、女神に涼しさを提供し、家族の健康を守ろうとします。
これは、気温が上昇し始めるこの季節における衛生管理と食生活の知恵が、儀礼として昇華されたものと言えるでしょう。
また、チャイトラ月は太陽が魚座(ミーナ)から牡羊座(メーシャ)へと移動する重要な天体イベントが起きる時期でもあります。
太陽が黄道十二宮の最初の星座である牡羊座に入ることは、太陽暦における新年の始まり(メーシャ・サンクランティ)をも意味します。
このようにチャイトラ月は、複数の時間のサイクルが重なり合う、極めてエネルギーの高い月です。
人々は自然界の再生と共に、自身の精神も一新しようと努め、早朝の聖なる川での沐浴や、ニームの葉を食べる習慣などを通じて、来るべき猛暑に耐えうる心身を作り上げていきます。