ハラターリカー・ティージ
ハラターリカー・ティージについて
ハラターリカー・ティージは、主に女性たちが夫婦の幸福や家庭の安泰を祈る吉日です。
毎年、バードラパダ月(8月〜9月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)のティージ(3日目)に行われます。
この祭日の核心には、シヴァ神とパールヴァティー女神の神話があり、献身や苦行、そして魂の成長という普遍的なテーマが息づいています。
「ハラターリカー」という名称は、「ハラ(連れ去る)」と「ターリカー(女友達)」に由来し、「女友達による連れ去り」という物語の重要な場面を示しています。
その神話の中心には、パールヴァティー女神の揺るぎない誓いがあります。
パールヴァティー女神は、前世でシヴァ神の妃サティーとして生きていました。
その後、再びシヴァ神と結ばれるためにパールヴァティー女神として姿を現します。
父のヒマヴァット王は世俗的な判断から娘をヴィシュヌ神に嫁がせようとしますが、パールヴァティー女神はシヴァ神と結ばれることを切に願い苦行を続けました。
その思いを知った友人がパールヴァティー女神を宮殿から連れ出し、森で苦行を続けさせます。
これが「女友達による連れ去り」の由来です。
森に身を隠したパールヴァティー女神は、水すら口にしない「ニルジャラー・ヴラタ」という厳しい断食を行い、心身を清めながらシヴァ神だけに祈りを捧げました。
その比類なき献身はついにシヴァ神の心を動かし、二人は神々の祝福の中で結ばれます。
この結婚は単なる愛の物語ではなく、意識(シヴァ)とエネルギー(パールヴァティー)、静と動の調和を象徴しています。
両者の合一によって宇宙が創造されるという根本的な真理がそこに示されます。
祭りの日には、女性たちが断食を行い、粘土や砂で神像を形づくり、自らの手で神へ祈りを捧げます。
それは、大地とのつながりを感じながら、内なる信仰を形にする尊い営みです。
さらに、一晩を通して祈りを捧げることは、怠惰や無知を乗り越え、魂が新たに目覚めることを象徴しています。
ハラターリカー・ティージは、単なる家庭円満の祈願にとどまりません。
それは魂を磨き、神聖な意志を貫くことの大切さを伝える祝祭です。
人々はこの日に神話を追体験し、内なる決意と聖なる力に触れることで、日常の中に新たな光を見いだします。
こうして受け継がれてきたこの祭りは、人生を豊かにし、魂を成長へと導く「霊性の祭り」として、今も人々の心に息づいています。