ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシー
ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシーについて
ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシーは、アーシャーダ月(6月〜7月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)の12日目に祝われる、クリシュナ神に捧げられる吉日です。
この日は、神が眠りにつくといわれるデーヴァシャヤニー・エーカーダシーの翌日にあたり、雨季のモンスーンとなる聖なる4ヶ月、チャトゥルマーサの到来を示します。
チャトゥルマーサの4ヶ月間に厳しい苦行を行う人々は、神への献身を深め、精神的な浄化を促すことができると伝えられます。
ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシーは、この聖なる期間の始まりを告げる重要な日です。
この日にクリシュナ神を礼拝することで、大きな幸福と魂の解放が授けられると信じられています。
「ヴァースデーヴァ」は、「ヴァスデーヴァの子」を意味し、クリシュナ神の別名です。
「ヴァスデーヴァ」はクリシュナ神の父親の名前であり、クリシュナ神はその全能の力を反映して、この名前を受け継ぎました。
ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシーの起源は、古代の聖典であるヴァラーハ・プラーナに見られます。
神話によれば、ナーラダ仙はクリシュナ神の両親であるヴァスデーヴァとデーヴァキーに、この日に断食をして神聖な儀式を行うよう勧めました。
ヴァスデーヴァとデーヴァキーが完全な献身と純粋な意図をもって儀式を終えた後、クリシュナ神となる子どもを授かったとされています。
以来、ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシーはクリシュナ神を称える日として広く祝われるようになりました。
クリシュナ神は聖地マトゥラーでヴァスデーヴァとデーヴァキーのもとに生まれました。
しかし、悪王カンサによって命を狙われ、父のヴァスデーヴァは赤ん坊のクリシュナ神を抱いてヤムナー川を渡り逃避します。
その後、クリシュナ神はマトゥラーの近くに住むナンダとヤショーダーの手によって育てられました。
クリシュナ神は、その目的と偉大な行為から「プールナ・アヴァターラ」(ヴィシュヌ神の完全な化身)とも呼ばれます。
ヒンドゥー教の教えによれば、クリシュナ神は全能、全知、遍在であり、その教えと生涯は多くの人々に霊的な導きを与えています。
ヴァースデーヴァ・ドヴァーダシーは、クリシュナ神への敬意と感謝を示す日であり、精神的な成長と幸福を願う日として受け継がれています。