ダルシャ・アマーヴァシャー
ダルシャ・アマーヴァシャーについて
アマーヴァシャーは新月を意味し、地球から見て月が見えない日を意味します。
アマーヴァシャーの中で、ダルシャ・アマーヴァシャーは月が完全に見えない夜を意味し、とりわけ重要な意味を持っています。
ダルシャ・アマーヴァシャーは、アマーヴァシャー(新月)のティティが日没後、月の出の間にある場合となります。
たとえば、6月18日がアマーヴァシャー(新月)で、アマーヴァシャーのティティが17日12時41分から18日13時36分である場合、実際のアマーヴァシャー(新月)は6月18日になりますが、ダルシャ・アマーヴァシャーとなるのは6月17日となります。
アマーヴァシャーの神話
このダルシャ・アマーヴァシャーは、先祖への祈りを捧げるとりわけ吉祥な時であるといわれます。
これには、バルヒシャドに生まれたアッチョーダーという少女にまつわる神話があります。
バルヒシャドはソーマ酒を飲んで生きる魂であり、祖霊を意味する言葉でもあります。
そんなバルヒシャドに生まれたアッチョーダーには父親がいなかったために、アッチョーダーは父親の愛に飢えていました。
そして、父親の愛を欲するあまり、神聖な魂としての力を失い、天界から落ちてしまいます。
アッチョーダーがこの地に落ちる間、ピトリ・ローカ(祖霊の世界)を通った時、祖霊の魂たちに、アマーヴァス王(プルーラヴァス王の子孫)の娘として生まれるように助言されます。
そして、アッチョーダーはアマーヴァス王の娘として誕生します。
アマーヴァス王はとても敬虔で高貴であり、喜び溢れる生活をアッチョーダーに与えました。
幸せな人生を送ったアッチョーダーは、ピトリ・ローカの祖霊の魂たちに感謝の気持ちを示すために、祈りを捧げるプージャーを行います。
その日が新月の夜であったために、アマーヴァス王の名にちなんで、新月はアマーヴァシャーと呼ばれるようになったといわれます。
そして、新月の夜は亡くなった先祖の魂を鎮め、救いに導くための日として祈りが捧げられるようになったと伝えられます。
ダルシャ・アマーヴァシャーの意義
ダルシャ・アマーヴァシャーにおいては、断食を行うことが勧められます。
ダルシャ・アマーヴァシャーの断食はアマーヴァシャーのティティから始まり、チャンドラ・ダルシャナの日に月を見た後に終了します。
また、ダルシャ・アマーヴァシャーにおいては身を清めた後に、シヴァ神やヴィシュヌ神の神像、またはチャンドラ・ヤントラ(月の神のヤントラ)を礼拝します。
月はチャンドラ神として崇められ、美しさ、静寂、悟りといった象徴があり、憐れみ深く慈悲深い性質があるといわれます。
心と感情を支配することから、月の礼拝によってネガティブな思考や感情が浄化され、人生に対して前向きな姿勢をとる力を与えられるといわれます。
また、月は神々と人間に栄養と活力を与えるとされるソーマ(なんらかの植物から作られたとされる神酒)とも関連づけられ、その力によって、生きとし生けるものの生命を健やかに保つと伝えられます。
アマーヴァシャー(新月)においては、精霊の力がより効力を持つとされているため、邪悪な行為やネガティブな思考からは遠ざかることが勧められます。
新月は、カーリー女神の礼拝、カーラ・サルパ・ドーシャやピトリ・ドーシャの緩和のための祈りを捧げることも適しています。