シータラー・アシュタミー(サプタミー)
シータラー・アシュタミー(サプタミー)について
シータラー・アシュタミー(サプタミー)は、恐ろしい病から人々を守るシータラー女神を讃える神聖な日です。
この日は、チャイトラ月(3月〜4月)のクリシュナ・パクシャ(満月から新月へ向かう半月)のアシュタミー(8日目)、またはサプタミー(7日目)に祝われます。
春の訪れを告げる3月〜4月にかけてのこの時期は、自然の再生とともに心身の浄化を促す絶好の機会とされています。
シータラー女神は、天然痘を始めとする疫病や、あらゆる恐ろしい病からの守りをもたらす女神として崇めれます。
シータラー女神の礼拝は、特に感染症が流行りやすい乾いた冬の季節や春の季節に行われます。
シータラー女神は、主に北インドで礼拝され、シヴァ神の妃であるパールヴァテ??ィー女神と同一視されます。
一説に、瞑想を行うシヴァ神の額から汗がこぼれ落ち、ジュヴァラースラ(熱の悪魔の意)という悪魔が生まれました。
そして、子どもたちにさまざまな病を引き起こし、世界を苦しめ始めます。
母なる女神は、子どもたちの熱を静めるために、シータラー女神(冷やす者の意)となって悪魔を倒し、世界を病気から救ったと伝えられます。
シータラー女神は、タクラーニーやジャガラーニー(世界の女王)、カルナーマヤ(慈悲に満ちた女神)、マンガラー(吉兆の女神)、バガヴァティー(幸運の女神)、ダヤーマイー(恵みと優しさに満ちた女神)といった名前でも崇められます。
南インドではマーリアンマン女神として崇められるなど、その慈悲深い保護と治癒の力によりインド全土でさまざまに異なる名前と姿で礼拝されています。
シータラー女神は、ロバに乗り、病原菌を払うためのほうき、そして、熱を冷ますための冷たい水の入った壺を手にして描かれます。
薬草のニームを持って描かれることもあります。
これらはシータラー女神が人々に与える保護と癒しの力を示しています。
シータラー女神を礼拝するシータラー・アシュタミーは、春を祝福するパールグナ月(2月〜3月)の満月(ホーリー・フェスティバル)から8日目(アシュタミー)にあたります。
この日、家庭では火を使った調理は行わず、前日までに調理を済ませ、冷たい(冷めた)食事をシータラー女神に捧げます。
前日にあたるサプタミー(ホーリー・フェスティバルの後の7日目)にプージャーを行う慣習もあります。
ホーリー・フェスティバルを過ぎると、インドでは長い夏が始まります。
シータラー女神は、季節の移り変わりによるさまざまな病気からの保護をもたらすともいわれることから、シータラー・アシュタミー(サプタミー)を通じて、人々は自分自身や家族の健康と幸福を祈ります。
この日は、宇宙の慈悲深い力へ感謝をし、自然の周期に根差した心身の再生を願う吉日として受け継がれています。