シャーカンバリー・ジャヤンティー
シャーカンバリー・ジャヤンティーについて
シャーカンバリー・ジャヤンティーは、シャーカンバリー女神の降誕祭として崇められる吉日であり、パウシャ月(12月〜1月)の満月がその日にあたります。
インドでは、山や川、草や木など、大自然のあらわれが女神として崇められてきました。
そんな女神の中に、シャーカンバリーという女神がいます。
シャーカンバリー女神は、ドゥルガー女神の化身であり、野菜や果物、緑の葉の女神として崇められています。
この地の深刻な食糧危機を救うために生まれたと伝えられるシャーカンバリー女神の降誕神話は、自然災害が相次ぐ現代を生きる私たちに、多くの学びを伝えています。
厳しい苦行を行い、4つのヴェーダを手にしたドゥルガマと呼ばれる悪魔がいました。
賢者たちはヴェーダを失い、供儀という重大な義務の遂行ができなくなります。
火に供物を捧げることによって生まれるエネルギーは、かつてのように太陽へ届きません。
雲ができず、雨が降らず、穀物は枯れ、この地は荒れ果てました。
賢者たちはこの世界の大惨事を目にし、大自然を動かす女神の力を呼びさまそうと苦行を始めます。
賢者たちの苦行に心を動かされた女神は、その姿をあらわしました。
荒れ果てた世界を目にした女神は、哀れみと悲しみに打ちひしがれます。
その身体には無数の目があらわれ、9日間に渡って涙を流し続けました。
女神の身体から溢れる涙は、地上に降り注ぎ、やがて川を生み出します。
その後、飢える世界を救おうと、女神は野菜、果物、穀物、薬草といった自然の恵みを手にし、この地に命や再生をもたらします。
そして、女神はドゥルガマを倒すと、この世界にヴェーダを取り戻し、再び繁栄を呼び覚ましました。
飽食の時代にある今、かつて世界がヴェーダを失ったように、私たちは祈ることも忘れ、欲望のもとで真実を見失っています。
そして、女神そのものである自然を破壊し、私たち自身が苦難を経験しています。
インドでは、菜食の食事はシャーカンバリー女神の供物として食されることもあります。
食事という恵みに感謝をし、菜食を心がけるなど、自然を崇め、謙虚に生きることが、女神への一番の礼拝になるでしょう。