リシ・パンチャミー
リシ・パンチャミーについて
リシ・パンチャミーは、サプタリシ(七聖仙)を礼拝する日として知られ、バードラパダ月(8月〜9月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)の5日目に祝福されます。
この日は、ラジャスヴァラー・ドーシャを清めるために、女性たちが祈りや断食をする日として有名です。
ラジャスヴァラー・ドーシャは、月経によって生み出される困難な影響と信じられます。
一説に、このラジャスヴァラー・ドーシャに苦しんでいた女性がリシ・パンチャミーに戒行を行ったところ、その影響が清められ、健やかで幸せな人生を迎えたといわれます。
インドでは、女性は月経中、洗髪をしたり、台所に入って食事を作ったり、寺院へお参りをしたり、プージャーに参加したり、神聖なものに触れたりすることは避けるよう伝えられています。
こうした禁忌事項には、女性が健やかで幸せな日々を過ごすための叡智が秘められています。
女性は月経中、痛みや出血によって、何より身体的に疲労し消耗します。
また、女性ホルモンの働きによって、精神的にも不安定さを経験することが少なくありません。
このため、月経中の女性の心身は、適切な休息やケアが必要となります。
例えば、洗髪によって背中を伝う水は、不安定な状態にあるチャクラに影響を与え、子宮に近い最下部のムーラーダーラ・チャクラにその影響が滞るといわれます。
これにより、子宮が強く収縮したり、痛みが増したりするといわれます。
洗髪にお湯が使えなかった古代では、冷たい水を浴びることでの冷えも懸念されていたと考えられます。
また、寺院やプージャーなどの儀式では、真鍮や銅といった、伝導性があり、身体にエネルギーを伝えやすいものが多く用いられます。
こういった場所にいることで、女性ホルモンのバランスが乱れるなどの影響があると信じられます。
さらに、マントラなどの波動も、不安定な心身には強すぎる影響が加わるといわれます。
台所用品の多くも、かつてはこうした金属類が用いられていました。
それらに近づくことで生じる影響を抑えるためにも、台所に入ることが禁じられていたといわれます。
月経中も衛生的に過ごせる現代とは異なり、周囲を衛生的に保つためにも、古代では月経中の女性が調理することが難しかったと考えられます。
ラジャスヴァラー・ドーシャは、こうした禁忌事項を守らないことで生じる心身の不調とも捉えられます。
リシ・パンチャミーにおいて、祈りや断食を行うことで、その影響が和らぐと信じられます。
こうした禁忌事項が伝えられるのは、月経中の女性から不浄なエネルギーが排出されるからであると、女性軽視のように捉えられてしまうこともあります。
それによって、神前に向かうことが失礼にあたるのではないかと感じる女性もいるといわれます。
しかし、その深くには、女性の心身を守り、適切に休め、健康で幸せに過ごすための叡智が秘められています。
忙しない現代社会において、こうした禁忌事項を守るのは難しいかもしれませんが、自然と調和しながら生きる術を心に留めておくと良いでしょう。