『マハーバーラタ』は、インド古典のなかで『ラーマーヤナ』とともに二大叙事詩に数えられています。この大叙事詩は、英雄伝説の形態を取りながら、実は強度に「神話的」色彩を帯びています。英雄たちと神々との結びつきは、『マハーバーラタ』研究の最初期以来、この叙事詩の原形がガンジス川上流域で行われた実際の戦争であったと信じる多くの学者によって、歴史伝説の上に後から付加された、二次的な装飾であるとみなされてきました。
しかし、そのような歴史主義的立場の研究では、登場人物であるパーンダヴァの一妻多夫婚と、パーンダヴァの父神たちのリストは、解決できない問題でした。この難問を神話学的な観点から解決したのがインド・イラン学者ウィカンデルです。
本書は、ウィカンデルの理論的支柱となったデュメジルの研究成果を継承し、『マハーバーラタ』のインド・ヨーロッパ的構造とヒンドゥー教的構造を対照させ、さらに、ギリシャ、ゲルマン、ケルト、そして日本の神話と比較、デュメジル神話学を着実に発展させた注目の成果です。
沖田 瑞穂(著)
単行本: 270ページ
出版社: 弘文堂 (2008/6/6)
言語 日本語
発売日: 2008/6/6
商品の寸法: 21.4 x 15.2 x 2.4 cm