「EXPRESS STAR TELLER」2025年5月号は、インド占星術とスピリチュアリティの深遠な世界へと読者を誘います。今号の目玉は、木星の双子宮へのトランジットが12ラーシとバーススターに与える影響を詳細に予測し、ヴェーダに基づいた対策を提示する特集です。また、惑星逆行の吉凶、マンダラアートによる感情癒し、ダヤーナンダ・サラスワティ師の叡智に触れる「グルからの導き」、ケーララ州の稀有な寺院「ニラナム・ティルカパリエスワラ寺院」の紹介など、占星術の実践から精神的な成長まで幅広くカバー。ジェフ・ベゾスのような著名人のホロスコープ分析や、過去のカルマを解消する方法も掲載。占星術愛好家はもちろん、心の平安と自己発展を求める全ての人々に、実践的な知識とインスピレーションを提供します。
プージャ・スワミ・ダヤーナンダ・サラスワティ師による「グルからの導き(Guidance from Guru)」と題されたこの記事は、私たちが日常的に直面する「成功」と「失敗」という概念に対する深い洞察を与えてくれます。師はまず、満たされない欲望、抑圧された欲望、そしてあらゆる種類の欲望こそが、私たちを苦しめる根本原因であると指摘します。私たちは配偶者や子供、上司や社会など、周囲の人々や状況が自分の思い通りになることを期待しがちですが、他者はそれぞれのあり方で存在しており、それを変えることはできません。この現実を理解することが、心の平安への第一歩となります。
特に「成功」と「失敗」の捉え方について、師は絶対的な基準は存在しないと説きます。ある視点から見れば成功でも、別の視点から見れば失敗であり、その逆もまた然りです。例えば、医師になろうとしてなれなかった人が、後に会計士として大成したとしても、医師になれなかったという点では「失敗」かもしれません。しかし、重要なのは、自分自身を「成功者」や「失敗者」といったレッテルで判断しないことです。このような自己判断から自由になることで、私たちは「失敗への恐れ」からも解放されます。
失敗を恐れることは、無意識のうちに責任を他者に委ねたり、人間関係において自分を守ろうとして相手を疑ったりする行動につながります。しかし、自分は失敗者ではないという深い理解があれば、このような恐れに苛まれることはありません。愛する人から本当に愛されているか疑心暗鬼になるのも、自分自身を「失敗者」と感じ、愛される価値がないと思い込んでいるからかもしれません。
師は、自己受容の重要性を強調します。ありのままの自分を受け入れ、成功や失敗という二元的な判断から自由になることで、私たちは真の心の平安を得ることができます。この境地に至れば、他者をありのままに受け入れ、知ること、愛すること、与えること、許すことといった「特権」を享受できるようになります。それは、リラックスし、自由な時間を心から楽しむことができる、自己充足した精神状態なのです。この記事は、現代社会で成功と失敗のプレッシャーにさらされる私たちにとって、心の重荷を下ろし、より自由に生きるための実践的な智慧を授けてくれます。
ヘママリニ・ラグナタン氏による「Rare Temple(稀有なる寺院)」は、南インド・ケーララ州パタナムティッタ地区、パンバ川とマニマラ川の合流点という聖なる地に佇むニラナム・ティルカパリエスワラ寺院の魅力を深く掘り下げた記事です。この寺院は、知識、智慧、芸術、そしてあらゆる形態の学問の究極のグル(師)として崇拝されるシヴァ神の顕現である、ロード・ダクシナムールティを祀る、インドでも数少ない貴重な寺院の一つとして知られています。この寺院は、ニラナムに点在する三つの主要なティルカパリエスワラ寺院群の一つに数えられ、伝説によれば、聖仙パラシュラーマが東向きの神像を聖域(サンクタム・サンクトラム)に設置したとされる108のシヴァ寺院の一つでもあります。
寺院の敷地内では、サプタマートリカー(七母神)―すなわち、ブラーフマニー、カウマーリー、インドラーニー、マヘーシュヴァリー、ヴァーラーヒー、ヴァイシュナヴィー、そしてこれら全ての母神の力の源泉であり、アーディ・パラシャクティの化身とされるチャームンディー―が非常に重要な存在として祀られています。さらに、ガネーシャ神、シヴァ神、パールヴァティー女神のための小さな祠や、供物を捧げるためのバリ・ピータも設けられています。シヴァ神の聖なる乗り物であるナンディケーシュワラ(聖牛ナンディ)もまた特別な位置を占め、定期的な供物が捧げられています。
日々のプージャー(礼拝)や祈りに加え、シヴァ神が妃パールヴァティーと結婚した吉日を祝うマハーシヴァラートリ祭が、この寺院では大きな熱意と壮大さをもって執り行われます。寺院は通常、早朝5時15分から午前中と、夕方から午後8時30分まで参拝者のために開かれており、様々なドーシャ(不浄や悪影響)を取り除くための特別な儀式も行われています。
ロード・ダクシナムールティは、その静寂なる存在を通して深遠な真理を伝え、その神聖な恩寵によって、弟子たちは神聖な智慧の奔流と悟りを得ると信じられています。このニラナム寺院でヴィディヤー・プラールタナー(学問成就の祈願)を行うことは、人生における知識の流れを増大させ、その人が選んだ分野で成功を収める助けとなると言われています。障害を取り除くヴィグナ・ニヴァーラナ、知識獲得のヴィディヤー・プラープティ、そして伝統的なサムスカーラ(通過儀礼)も、この寺院で執り行われる重要な儀式です。
ニラナム寺院は、この地で活躍した高名なニラナム詩人たち(カンナッサン詩人たちとしても知られる)の時代から、非常に人気のある信仰の中心地でした。この偉大な詩的伝統に敬意を表し、多くの人々が、学問を始めるのに最も吉兆とされるヴィジャヤーダシャミーの日にこの寺院を訪れ、子供たちを伝統的な学問の世界へと導きます。占星術、アーユルヴェーダ、そして伝統建築の研究も、この寺院の周辺で盛んに行われてきました。近年では、寺院のさらなる発展と改修のためにデーヴァ・プラシュナ(神託を問う占術儀式)が執り行われ、その結果としてシャースター神やシュリー・クリシュナスワーミ神を祀るための特定の場所が新たに定められました。
記事の結びとして、偉大な哲学者アーディ・シャンカラーチャーリヤによって編纂されたとされるダクシナムールティ・ストートラ(賛歌)に言及しています。この力強い賛歌を唱えることは、祝福を求め、個々人の精神的なグルに対する敬意と献身を示す方法として、ダクシナムールティ神への礼拝においてしばしば実践されています。記事中では「オーム・ナモー・バガヴァテー・ダクシナーゥムールタイェー・マヒャム・メーダーム・プラジュニャーム・プラヤッチャ・スヴァーハー」というマントラも紹介されており、このマントラを唱えることにより、帰依者は人生の明確な目的意識、深い自己認識、そしてより高度な理解を得ることができるとされています。この記事は、単に寺院の物理的な側面を紹介するだけでなく、その深遠な霊的意義と、訪れる人々に与える計り知れない恩恵を、生き生きと伝えています。