チトラ・プールニマー
チトラ・プールニマーについて
チトラ・プールニマーは、タミル暦チッティライ月(4月〜5月)の満月にあたり、チトラグプタ神が降誕した時とされる吉日です。
チトラグプタ神は、死の神であり正義の神(ダルマの神)として敬われるヤマ神と密接な関係を持つ存在とされます。
人がこの世を去るとき、魂は最初にヤマ神の許へ旅立つとされ、そこでチトラグプタ神は記録していた個々の行為の善悪をヤマ神に報告すると伝えられます。
チトラ・プールニマーにこのチトラグプタ神の礼拝を行うことで、過去の行為を清めることができると信じられています。
人は日々の生活の中でさまざまな経験を積み重ねる中で、無意識のうちに心に深い印象を刻んでいるといわれます。
それは未来の行為に影響を与える心の傾向を生み出し、そうして繰り返される行為は、最後にヤマ神によって裁かれると伝えられます。
チトラグプタ神は、創造神であるブラフマー神の心から生まれたと信じられます。
膨大な死者の数にヤマ神が公正な裁きを下すことが困難になっていた時、ヤマ神はブラフマー神に有能な従者を与えてくれるように懇願しました。
ブラフマー神が長きにわたる瞑想を行うと、その心から紙と筆を持った者が現れます。
この秘密に包まれた存在は、チトラグプタと名付けられました。
チトラグプタの名前にはさまざまな意味が込められている中、たとえば、「チトラ」を「絵」とし、「グプタ」を「秘密」とする解釈があります。
この「秘密の絵」は、私たちの潜在意識に刻まれた印象であり、心の傾向を意味するとともに、未来を導く秘めた力が宿っています。
その神秘的な力がチトラグプタ神であり、物事の善悪を図る心の働きとして捉えられます。
内なる導き手として、チトラグプタ神は日々の経験を通じて善悪の判断を促し、私たちを正しい行為へと導きます。
チトラグプタ神への祈りは、内なる世界でその力を高め、善悪の見極めや善行の積み重ねのために役立つものとなります。
そうして真と善に満ちた行為を積み重ねることで、ヤマ神の前に立つ時、その人生は正義によって祝福されるといわれます。
チトラグプタ神の降誕を祝福するチトラ・プールニマーにおいては、タミルナードゥ州の多くの寺院で祝福が行われます。