ガーヤトリー・ジャヤンティー
ガーヤトリー・ジャヤンティーについて
ガーヤトリー・ジャヤンティーは、ガーヤトリー女神の降誕祭として祝福される吉日です。
1年の中でもっとも神聖な月とされるシュラーヴァナ月(7月〜8月)の満月に祝福されます。
「ガーヤトリー」とは、もともと韻律の一種であり、8音節の句を3つ重ねた、合計24音節からなる詩形を意味します。
後に、ガーヤトリーは神格化され、ガーヤトリー女神として崇められるようになりました。
ガーヤトリー・マントラが記されたヴェーダは、「知識」を意味し、ヒンドゥー教においてもっとも尊ばれる聖典であり、ガーヤトリー女神は人々の無知を取り除くヴェーダの母として崇められています。
紀元前12世紀頃に編纂されたリグ・ヴェーダにあらわれるガーヤトリー・マントラは、太陽神サヴィトリへの賛歌です。
聖仙ヴィシュヴァーミトラは、太陽の中に神(ブラフマン)を見出し、無限の力を引き出すガーヤトリー・マントラを発見しました。
ガーヤトリー・マントラには、生きとし生けるものに命を与える太陽という最高の光が、私たちの心を照らし、知識を授け、正しい道へと導いてくれるよう、叡知を司る祈りが込められています。
ガーヤトリー・ジャヤンティーとなるシュラーヴァナ月の満月においては、ブラフミンの間で「ウパーカルマ(アーヴァニ・アヴィッタム)」という儀式が行われます。
ブラフミンはガーヤトリー・マントラを唱えながら、身につけていたブラフミンとしての象徴である白い聖紐を付け替えます。
そして、このウパーカルマ(アーヴァニ・アヴィッタム)の次の日はガーヤトリー・ジャパの日として知られ、ガーヤトリー・マントラを唱える吉兆な時となります。
「ウパーカルマ」は始まりを意味し、シュラーヴァナ月の満月は、ヴェーダの学習に取り掛かる大切な日として知られています。
そこには、ある言い伝えがあります。
かつて、悪魔のマドゥとカイタバによってブラフマー神からヴェーダが盗まれました。
ヴェーダがないために、全世界が闇に包まれ、ブラフマー神は創造を続けることができません。
ブラフマー神は、ナーラーヤナ(ヴィシュヌ神)のもとへ駆けつけ、ヴェーダを取り戻すための助けを求めました。
すると、ナーラーヤナ(ヴィシュヌ神)は光沢のある白い馬の顔の馬頭観音(ハヤグリーヴァ)となり、パーターラ(悪魔の棲む地界)へと行って悪魔を倒し、ブラフマー神にヴェーダを取り戻させます。
この日が、シュラーヴァナ月の満月であると伝えられます。
あらゆる知識が詰まった聖典ヴェーダを、ハヤグリーヴァが創造者であるブラフマー神のもとへ取り戻したこの日、新しい始まりとして、神聖なヴェーダの学習が始まります。
※ガーヤトリー・ジャヤンティーは、ガンガー・ダシャラーの次の日にあたるエーカーダシーに祝福される場合もあります。