カーラバイラヴァ・ジャヤンティー
カーラバイラヴァ・ジャヤンティーについて
カーラバイラヴァ・ジャヤンティーは、シヴァ神の強力で恐ろしい化身であるカーラバイラヴァ神の降誕祭にあたります。
マールガシールシャ月(11月〜12月)のクリシュナ・パクシャ(満月から新月へ向かう半月)の8日目(アシュタミー)がその日にあたり、宇宙の深淵なる力が顕現する時とされます。
満月から8日目に降誕したカーラバイラヴァ神には、主となる8つの異なる姿があり、それぞれがアシュタ・マートリカー(八母神)として知られる女神たちを伴います。
これらの姿は、8つの方角を守る役割を担い、タントラの伝統では特に尊ばれています。
カーラバイラヴァ神は、欲望にまみれ傲慢な態度を見せたブラフマー神を罰するためにシヴァ神から生まれました。
シヴァ神はカーラバイラヴァ神となって、ブラフマー神の5つある頭のひとつを切り落とし、長い苦行を行なったとされます。
「カーラ」は「時」を、「バイラヴァ」はシヴァ神の恐ろしい姿を意味します。
シヴァ神のもっとも恐ろしい形態であるにもかかわらず、カーラバイラヴァ神への礼拝は限りない保護と繁栄をもたらすと信じられています。
これは、私たちの内なる欲望という最大の敵を制する力と、精神的な強さを与えてくれるからであると伝えられます。
そんなカーラバイラヴァ神はしばしば犬を乗り物として描かれます。
インドの伝統では、犬は死とその世界との関連を持つとされており、カーラバイラヴァ神が犬を乗り物として選ぶことは、時間という概念を征服する力の象徴として捉えられます。
人間は過去や未来にとらわれ、恐怖や衰退を感じがちです。
そして、欲望に溺れることは、現在という貴重な瞬間を見失わせる危険を孕んでいます。
カーラバイラヴァ神への真の礼拝は、現在を精一杯に生きることにあります。
このように生きることで、私たちは恐怖や衰退をもたらす欲望を克服し、無限の保護と繁栄を手に入れることができると伝えられます。