アナンタ・チャトゥルダシー
アナンタ・チャトゥルダシーについて
アナンタ・チャトゥルダシーは、およそ10日間にわたって続くガネーシャ降誕祭の最終日にあたる吉日です。
バードラパダ月(8月〜9月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)の14日目に祝福され、無限の姿であるアナンタ(大蛇)としてのヴィシュヌ神を礼拝する吉日です。
アナンタ・チャトゥルダシーには、聖者として知られるカウンディニャと、妻であるスシーラーにまつわる、ある神話が伝わります。
カウンディニャとスシーラーが川沿いを歩いていた時、カウンディニャは沐浴のために川へ入りました。
一方で、スシーラーは熱心に祈りを捧げる女性たちに出会います。
女性たちは、アナンタと呼ばれる永遠の蛇を礼拝していました。
その神前には、14の結び目がある聖紐が捧げられ、祈りが終わると、女性たちはその聖紐を手首に巻きつけました。
14年間に渡ってそれを身につけ、アナンタへの礼拝を行うことで、限りのない豊かさが授けられるのだとスシーラーは教えられます。
信心深いスシーラーは、アナンタへの礼拝を行うことを決め、その聖紐を手首に巻きつけます。
すると、カウンディニャとスシーラー夫妻は、みるみる豊かになり、周囲には富が溢れるようになりました。
ある時、カウンディニャはスシーラーの手首に巻かれた聖紐に気がつき、スシーラーはアナンタの礼拝について説明をします。
しかし、豊かになったのは自分の努力のおかげであり、アナンタの恵みによるものではないと、カウンディニャは怒り、聖紐を捨ててしまいます。
しばらくすると、カウンディニャとスシーラーは数々の苦難に見舞われ、極度の貧困に陥りました。
カウンディニャは、アナンタへの敬意を欠いたことによって、貧困に陥ったことに気がつきます。
その後、カウンディニャは14年間に渡ってアナンタへ捧げる苦行を行うと、罪は取り除かれ、再び豊かさに恵まれたといわれます。
強い自尊心や慢心は、苦難をもたらす大きな障壁であると、古代から伝えられてきました。
個々の心が全体である崇高な存在から離れることで、迷いや疑いに苛まれ、あらゆる物事が複雑に、そして困難が増していきます。
一方で、謙虚さは全体である崇高な存在に結びつけます。
受け入れること、身を任せること、そうして生まれる大きな平安や至福の中で生きる時、限りのない豊かさに気づくことができるでしょう。