『エクスプレス・スター・テラー』2026年4月号(第35巻第3号)は、インド占星術(ヴェーディック・ジョーティシュ)の専門月刊誌です。本号の中心テーマは、2026年1月末からラーフのアンタルダシャー(副運期)に入ったインドの国運を読み解く「ラーフの影」。太陽暦新年「パラーバヴァ年」のパンチャーンガ・シュラヴァナムと世界予測を軸に、ダシャーとトランジットを用いた試練期の数理的分析、アフガニスタンやMeta社の運勢、夏季の天候占星術まで幅広く収録します。さらにジャイナ・マントラによる治癒、ダヤーナンダ師の智慧、ヴァイジナート・マハーデーヴ寺院の神秘、グル・ゴーラクナートの霊窟など、霊性記事も充実。理論・予測・実践・聖地巡礼を一冊に凝縮し、占星術と精神世界を志す読者の探究心に応える内容です。
レギュラー欄「Guidance from Guru(グルからの導き)」は、著名な聖者プージャ・スワミ・ダヤーナンダ・サラスワティ師とのサットサンガ(霊的対話)を収めた記事です。テーマは「2種類の探求(Two Types of Seeking)」。師は、人間が望ましいと考える対象には常に「探求」が伴うとし、その探求を二つに分類します。第一は、快適さ・金銭・権力・子孫など、自分が「持っていない」ものを、知識や技能・資源を用いて獲得しようとする探求です。これらは一時的に強く望ましく見え、達成すべき目標(サーディヤ)となりますが、後に評価が変わることもあります。
第二の探求はより本質的で、「既に持っているのに、持っていないと思い込んで求める」探求です。師はこれを、額に眼鏡を載せたまま「眼鏡が無い」と家中を探し回る男の寓話で説きます。新聞を読もうとした男が、来客の際に眼鏡を額へ上げ、客が帰った後に眼鏡を見失い、机にも床にも見当たらず「私の眼鏡はどこだ」と叫ぶ。やがて末の息子が額を指さし、男は探していた眼鏡が初めから自分のもとにあったと気づきます。
この寓話の核心は、男が眼鏡を「持っていなかった」からではなく、「持っていないと思い込んだ」ために探していた、という点にあります。すなわち彼は問題であると同時に解決でもあった――非所有者だと錯覚した点で問題であり、実際には所有者であった点で解決だったのです。所有者と非所有者の間に物理的距離はなく、両者を隔てるのは無知(ignorance)にほかなりません。この無知こそが、人を「持っていないもの」と「持っていると思えないもの」の双方へと駆り立てる根本原因だと師は説きます。
記事後半「人生における探求」では、人間の活動はすべて「何かを得たい」「何かを手放したい」という衝動に発するとし、その衝動を三つの基本範疇――生き続けること、幸福を得ること、知識を得ること――に整理します。生きようとする願いは他者に植え付けられたものではなく、生まれたばかりの嬰児ですら生き延びようと足掻く、普遍的で自然な衝動だと述べます。本記事はインド哲学(ヴェーダーンタ)の自己探求を平易な寓話で説き、読者を内省へと誘う、本誌の精神的支柱となる一篇です(出典:Arsha Vidya Research and Publication Trust, Chennai)。
巻頭の「RARE TEMPLE:Experience the Ancient Ambience!」(著者ヘママリニ・ラグナータン)は、グジャラート州アーナンド地区ジトディヤに鎮座するヴァイジナート・マハーデーヴ寺院を取り上げます。11世紀から存在するとされる由緒ある寺院で、過去に幾度も侵略者が破壊を試みましたが、プジャーリー(祭司)や信者の犠牲的献身によって今日まで守られてきました。寺院の傍らには彼らのサマーディ(廟)が今も残り、当時の人々の篤い信仰を物語っています。
伝承によれば、このリンガは元来、パーンダヴァのビーマが、流刑の最終年「アギャート・ヴァース(隠遁・潜伏の期間)」に礼拝のために据えたものとされます。この地は、ビーマが妻ヒディンビーと出会った「ヒディンビー・ヴァン」とも呼ばれていました。年月が経つうちにリンガは地中に埋もれ、その存在は忘れ去られます。やがて一頭の牛が毎日同じ場所で乳を出すことに牛飼いが気づき、シンドハラージ王の協力で地面を掘り起こしたところ、シヴァ・リンガが現れ、王がその上に寺院を建立したと伝えられます。
この寺院最大の特徴は「神秘の現象」です。シヴァ・リンガには自然にできた複数の穴があり、太古から絶えることなく聖水が湧き出し続けています。その水源は今なお不明で、科学的調査をもってしても起源は解明されていません。地元の信者はこの水を「ガンガー・ジャル(ガンジス河の聖水)」とみなし、多くの病を癒す神聖な力を持つと信じています。研究機関での水質分析では、周辺地域の水源とは異なる特性を示したと記されています。信者は多孔質のリンガに直接触れて礼拝することが許され、聖水はプラサード(神からの授かり物)として受け取られ、アビシェーカ(灌水供養)が行われ、ビルヴァの葉が捧げられます。
本殿の周囲には、後世に建てられたマータージー、ハヌマーンなど諸神を祀る小さな祠が並びます。寺院は日中、休憩を挟みつつ開門され、特にシュラーヴァナ月(7〜8月)には多くの参拝者が訪れ、パンディットがハヴァン(護摩)とプージャーを執り行います。アーナンド市街から約12km、道路でのアクセスも容易で、独特の霊気に包まれています。記事は、とりわけ早朝の参拝で安らぎと精神的な力を体験できると締めくくり、古の気配を今に伝える隠れた聖地として読者を誘っています。

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