クータヌール・サラスワティー寺院は、タミル・ナードゥ州に位置する由緒ある寺院です。
学問と芸術の女神サラスワティーを主神として祀るこの寺院は、この地域で唯一無二の聖地となっています。
この寺院の起源は、著名な詩人オッタクータールと深く結びついています。
オッタクータールは、チョーラ朝のラージャーラージャ・チョーラ２世の宮廷詩人でした。
ラージャーラジーャ・チョーラ２世は、オッタクータールが平穏に詩作できるよう、この寺院を寄贈したと伝えられます。
このため、この地はクータン（詩人）＋オール（村）でクータヌールと呼ばれるようになりました。
オッタクータールは学問と音楽において比類のない知識を持っていましたが、この知識はサラスワティー女神の恩寵によって授けられたものと伝えられます。
寺院の中心となるサラスワティー女神は、白蓮の上に座す姿で表現されています。
純白の衣をまとい、ヴィーナー（弦楽器）を持つその姿は、優美さと神聖さの象徴とされます。
４本の腕は、人間の学びの本質を表現しており、それぞれが認識、知性、思考、自我を意味します。
寺院にまつわる神話では、創造神のブラフマー神と妻のサラスワティー女神の間に起きた争いが語り継がれています。
この出来事をきっかけに、ブラフマー神とサラスワティー女神は謙虚さを学ぶため、地上で兄妹として生まれ変わることとなりました。
しかし、元の神聖な関係を思い出したブラフマー神とサラスワティー女神は、シヴァ神への祈りを捧げます。
するとシヴァ神はサラスワティー女神に、このユガの間、未婚の少女として留まるように導きます。
そして、シヴァ神の力により、サラスワティー女神は清らかで神聖な水となり、アラサラール川となってこの地に流れ着いたと信じられます。
サラスワティー寺院の建築様式は南インドの伝統を色濃く反映し、アラサラール川のほとりに建つ姿は荘厳な美しさを放ちます。
寺院内には古い石碑が残されており、その歴史的価値を今に伝えています。
ここでサラスワティー女神は、学問的な知識だけでなく、創造的な知性、芸術的な表現、精神的な叡智、文化的な洗練などを人々に授けると伝えられます。
寺院は、その知識の神聖さを具現化した場所として、今なお多くの人々の心の拠り所となっています。
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