チャイトラ・ナヴァパダ・オーリー
チャイトラ・ナヴァパダ・オーリーについて
チャイトラ・ナヴァパダ・オーリーは、ジャイナ教で毎年春に行われる9日間の祭事です。
別名「アーヤンビル・オーリー」とも呼ばれ、チャイトラ月(3月〜4月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)の7日目から満月までの9日間に行われます。
「ナヴァパダ」とは、サンスクリット語で「九つの位」や「九つの尊い存在」を意味します。
修行者はこの九つの対象を敬い、瞑想することで、魂に蓄積されたカルマを減らし、解脱へ近づくことを目指します。
これらの九つは、「デーヴァ(神的存在)」「グル(導師)」「ダルマ(教え)」という三つのカテゴリーに分類されます。
9日間の祭事において、1日目と2日目には、「デーヴァ」にあたる「アリハント」と「シッダ」を敬います。
アリハントは四つの破壊的カルマを滅ぼし、完全な知識を得た悟りの存在とされています。
シッダは肉体を離れてすべてのカルマから解放された完全な魂であり、宇宙の頂点にある領域に存在すると考えられています。
3日目から5日目には、「グル」にあたる教えを伝える導師が敬われます。
アーチャールヤ(指導者)、ウパーディヤーヤ(教師)、サードゥ(男性修行者)とサードヴィー(女性修行者)が含まれます。
6日目から9日目には、「ダルマ」にあたる修行者自身が育むべき四つの徳に焦点が当てられます。
それは「正しい信」「正しい知識」「正しい行い」「正しい苦行」であり、ジャイナ教の修行の基本となる教えです。
これら九つのパダに関する徳の数を合わせると108になります。
この数字はジャイナ教の数珠の珠の数とも一致しており、魂が解脱へ向かう道を象徴しています。
祭事の期間中、多くの修行者は「アーヤンビル」と呼ばれる特別な断食を行います。
9日間、日没前に一日一回のみ食事を取り、米や豆などを煮ただけの非常に簡素な食事に限ります。
油や乳製品、砂糖、塩、香辛料、果物などは使用しません。
この修行は、味覚への執着を抑え、心を静めて瞑想を深めることを目的としています。
この祭事には、シュリーパーラ王子とマイナースンダリー妃の物語も関連づけられています。
王女であったマイナースンダリーは、自分の幸福は過去の善行の結果であると語ったため父王の怒りを買い、病を患ったシュリーパーラ王子と結婚させられたと伝えられています。
しかし、彼女は夫を支えながらナヴァパダ・オーリーの修行を続け、その功徳によって王子と仲間たちの病が癒されたと語り継がれています。
祭事の期間には、「シッダチャクラ・ヤントラ」と呼ばれる図形を瞑想の対象とします。
これは九枚の花弁を持つ蓮の形をした図で、中心にアリハントを置き、その周囲に他の八つのパダが配置されています。
この図はジャイナ教の宇宙観と修行の道筋を象徴するものとされています。
チャイトラ・ナヴァパダ・オーリーは、伝統的な物語や教え、そして断食や瞑想といった実践が結びついたジャイナ教の重要な祭事です。
ジャイナ教の人々とってこの9日間は、魂の浄化と自己修養を行う特別な期間とされています。