ヴァタ・サヴィトリー・ヴラタ
ヴァタ・サヴィトリー・ヴラタについて
ヴァタ・サヴィトリー・ヴラタは、夫の健康と幸せを願う、既婚の女性たちによる祈りです。
この祈りは、ジェーシュタ月(5月〜6月)の新月に主に北インドで行われます。
このヴラタ(誓願)は、死の危機にあった夫のために、妻であるサヴィトリーが大変な苦行を行い、死の神から夫を取り戻したことを祝福するものとして知られます。
この祝福において、女性たちは夫のために祈り、断食をし、プージャーを行い、そしてバニヤンの木の下に集います。
バニヤンの木はクリシュナ神が休む神聖な木として崇められる一方、アーユルヴェーダでは薬木ともされ、長寿を授けると信じられる聖木です。
バニヤンの木は、横に大きく広がった枝から、気根という長い根を地面に向けて垂らします。
その気根は、地面に届くと新しい幹になり、栄養を吸い上げ、木の成長を助けます。
この姿に見られる旺盛な生命力は、古代より、長寿や豊饒の象徴として崇められてきました。
インドの数々の祝祭は、そのどれもが大自然のサイクルと密接に繋がっています。
変化を続けながらも、あるがままに存在する大自然を崇めることは、自分自身を本質へと繋げていきます。
ヴァタ・サヴィトリー・ヴラタが広まるようになった夫を想うサヴィトリーの行いには、その献身的な愛に、死の神すらもひれ伏すという神聖さが象徴されています。
家族が何よりも大切な存在であるインドでは、その繋がりの中で、全体と自分自身を強く結ぶことを学びます。
私たちは常に、自然や家族、多くのものに支えられ、そして生かされています。
自分自身を取り巻く存在に気づきながら、感謝とともに生きることの大切さをこの祝祭は伝えています。