ヒンドゥー教には、一定の期間を定め、祈りや節制、断食などを実践する「ヴラタ」と呼ばれる誓戒があります。
その一つが、富や美、幸運、調和を司るラクシュミー女神に十六日間を捧げる「マハーラクシュミー・ヴラタ」です。
主に北インドや中央インドを中心に、家族の健康と繁栄を願う女性たちによって受け継がれてきました。
2026年は、9月19日から10月3日まで行われます。
ラクシュミー女神は金運や財産を授ける女神として知られていますが、その豊かさは金銭だけを意味するものではありません。
心の平安、健やかな身体、家族との調和、正しく判断する知恵、困難に向き合う勇気、誠実な人間関係なども、女神が授ける大切な恵みです。
そのため、この誓戒は外から富を呼び込むだけの儀式ではなく、祈りと節制によって自分の内側を整え、真の豊かさを育てるための修行とされています。
この教えを象徴するのが、パーンダヴァ五兄弟の長兄ユディシュティラ王の物語です。
ユディシュティラは正義を重んじる立派な王でしたが、賭けへの執着によって判断を誤り、王国や財産を失い、家族とともに苦境へ追い込まれました。
そこで救いを求めたユディシュティラに、クリシュナ神はマハーラクシュミー・ヴラタを行うよう勧めたと伝えられています。
この物語における王国の喪失は、単に財産や地位を失ったことだけを意味しているのではありません。
欲望や誘惑に心を奪われ、自分を律する力や、正しい判断の基準を失った状態を表しています。
人は外側の富を失う前に、心の中の秩序を失うことがあります。
内面の乱れが大きくなれば、その影響は仕事や家族、人間関係にも広がっていきます。
クリシュナ神が示したのは、失ったものを力ずくで取り戻す方法ではありませんでした。
まず祈りと節制を通して心を静め、生活を整え、ラクシュミー女神が象徴する美しさや秩序、誠実さに自分自身を調和させる道でした。
ユディシュティラは誓戒を実践することで、欲望や執着を見つめ直し、本来の正しい心を取り戻していったとされます。
十六という数は、インドの伝統において完全性や充足を象徴します。
月が少しずつ満ちていくように、十六日間、毎日祈りを重ねることで、乱れていた心を少しずつ整えていきます。
誓戒中は住まいを清潔に保ち、朝夕に灯明をともし、ラクシュミー女神のマントラや讃歌を唱えます。
また、食事を簡素にし、嘘や悪口、怒り、浪費を避け、穏やかな言葉と誠実な行いを心がけます。
大切なのは、食事を制限することだけではありません。
どれほど厳しい断食をしても、心の中に怒りや嫉妬、貪欲さを抱えたままでは、誓戒の本来の意味から離れてしまいます。
身体だけでなく、言葉と心も清らかに整えることが、真のヴラタといえます。
最終日には、十六日間を無事に過ごせたことへの感謝を捧げ、灯明をともし、月へ水を捧げます。さらに、食べ物や衣類、金銭などを必要とする人へ施します。
ラクシュミー女神の豊かさは、自分だけで抱え込むものではなく、人と分かち合うことで完成すると考えられているためです。
ユディシュティラ王の物語が教えているのは、真の繁栄は外から与えられるだけではなく、正しい心の在り方から生まれるということです。
人生で何かを失ったとき、すぐに外側の状況だけを変えようとするのではなく、自分の欲望や判断、日々の行いを見つめ直すことも必要です。
ラクシュミー女神の真の祝福とは、望むものがすべて手に入ることではありません。
変化する状況の中でも心の中心を見失わず、すでに与えられている恵みに気づき、感謝と誠実さをもって生きられることです。
マハーラクシュミー・ヴラタは、祈りによって心の秩序を取り戻し、その内なる豊かさを家庭や社会へ広げていくための十六日間です。
このマハーラクシュミー・ヴラタの吉日に、以下の寺院においてアルチャナ(神前において僧侶が名前を奏上する儀式)を実施します。
■プージャー(アルチャナ:神前において名前を奏上する儀式)実施寺院■
・アシュタラクシュミー寺院(チェンナイ):タミルナードゥ州の海岸沿いにあるこのアシュタラクシュミー寺院は、8体のラクシュミー女神を礼拝できる寺院として有名であり、チェンナイにおいてもっとも多くの人で賑わう寺院の一つとされています。
※プージャー実施日は、初日の9月19日(土)、最終日の10月3日(土)となります。
※オプションで「ヴラタ初日(9月19日)実施」、または「ヴラタ初日(9月19日)と最終日(10月3日)実施」をご選択ください。
※お申し込みは、9月16日(水)18:00ご入金確認分までの受け付けとなります。
※2〜3ヶ月後に、プージャーのプラサーダムをお送りいたします(写真は付属いたしません)。
※お申し込み時に、祈願者名、ナクシャトラ(未記入でも可。必要な場合は生年月日・誕生地住所・誕生時間をお知らせいただければ、確認させていただきます)をお知らせください。
※1回のお申し込みで、同じ姓のご家族4名様までご参加いただけます。
※お送りするプラサードは1回のお申し込みにつき1名様分のみとなります。人数分のプラサードをご希望の場合は、人数分のお申し込み数が必要となります。
※ご家族でお申し込みいただいた場合、実施寺院によっては、「Yamada Family」などと家族の姓でまとめて実施される場合があります。個人名での実施をご希望の場合は、1回のお申し込みにつき、1名様分のみの情報をご記入ください。